遺産分割における『特別代理人』


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父・母・息子・娘の4人家族における父親が亡くなった際の相続手続きについて、成年被後見人である母親の成年後見人に息子が就任している場合の遺産分割協議については、「特別代理人」の選任が必要となります。

父親の法定相続人は、母親(2分の1)・息子(4分の1)・娘(4分の1)の3名となります。この法定相続分と異なる割合で相続手続きを行う場合、相続人全員で遺産分割協議が必要とされます。

この遺産分割協議では、原則、各相続人の法定相続分とは異なる割合で相続分を取得するための話し合いを行うため、母親の成年後見人に就任している息子は、成年後見人としての立場での参加相続人としての【自分】の立場で参加することとなり利益が相反することとなってしまいます。これを『利益相反』といいます。

成年後見人は、本人である母親の利益(財産)を守る立場にいるにもかかわらず、相続人である【自分】の権利も主張することとなるため、これでは公平な協議ができないと判断されるからです。

このような場合、家庭裁判所に『特別代理人』選任の申立てを行います。この特別代理人には申立の段階で候補者を記載することとなっており、我々司法書士が選任することもありますし、今回の利益相反取引行為について利害関係がない人で特別代理人として適当と思われる方(専門職以外の方)でも問題ありません。

特別代理人の仕事は、スポットでの仕事になるため今回の場合であれば遺産分割手続きが完了すれば、任務は終了となります。

このように遺産分割協議を行う上で、相続人間の関係性によっては裁判所の手続きをとる必要がでるなど複雑になってきます。やはり、相続手続きは早めに行う必要があるなと改めて思います。

令和5年1月16日 司法書士 梶原 司

 

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