相続登記の依頼を受任して、謄本を取得した際、前所有者の抵当権がついたまま・・・という経験はありませんか?
抵当権は、被担保債権が消滅したとしても抹消登記をしない限り消えることはありません。つまり、登記上残るということになります。
古い抵当権(すでに完済してる)を抹消しないからといって何か不利益を被る訳では無いですが、この不動産を売却する際、必ず抹消手続しないといけません。
ここで問題となるのが抵当権者が誰なのか?個人なのか?法人なのか?金融機関なのか?ということです。
今日は、金融機関の場合について話を進めます。
金融機関であっても現在も存在してる金融機関なのか?合併して存在していない金融機関なのか?支店の記載があるか?などケースによってどこにどのような連絡を入れるかが変わってくるんですね。
現在も存在してて、かつ支店の記載が登記上記載があれば連絡を入れやすいのですが、古い抵当権となると存在していない金融機関(合併して別の金融機関になってる)で支店の記載がされていないことがほとんどです。
実務においては、合併後の金融機関を探して、ローンセンターや所有者の最寄りの支店に連絡を入れるようにしています。
その際、金融機関の担当者から言われるのが、債務者が誰で物件がわかる資料を下さいと言われますので、依頼者の許可のもと謄本(相続登記後のもの)を支店にFAXをし、金融機関からの連絡を待ちます。
金融機関によって変わりますが、再発行された抹消書類(委任状、解除証書等)を2週間から3週間後に受け取れることになります。
登記済証(登記識別情報)は、再発行されませんので、事前通知又は本人確認情報により抹消手続を進めることとなります。
上記のような手続を取るので抹消登記完了までの期間に数ヶ月要します。売却する際に抹消すればいいと思いがちですが、いざ売却する際に抹消手続きを行うとなると決済のスケジュールがたてられないということもあります。ですので、相続登記をする際に古い抵当権を見つけた場合、早めに抹消することをおすすめします。
当事務所では、このような手続を多数取り扱っております。
お気軽にご連絡お待ちしております。
令和5年1月9日 司法書士 梶原 司