売主が3名の共有名義で、内2名に成年後見人が選任されており本人の居住用不動産の売買をする際の「登記原因証明情報」の登記の原因となる事実又は法律行為に関する記載をどうするのかについて悩みました。
大きく分けると次の内容になるかと思います。
1、買主と成年後見人が売買契約をしていること
2、特約にて代金受領時に移転する内容
3、居住用不動産に当たるため、裁判所の許可を得る必要があること
4、裁判所の許可があること
5、代金の受領があったこと
6、所有権移転の記載
今回のケースでは、(1)に3名の成年後見人の名前をそれぞれ記載し、(3)(4)の許可については、居住用不動産に当たる本人の名前を記載(2名のみ)して、登記申請を行いました。
共有名義でそのうちの2名だけが居住用不動産にあたるケースに今まで当たったことがなく、参考書にも売主が1人の場合だけだったので、この登記原因証明情報の記載をどうするのか非常に悩みました。
結果、補正になることもなく無事に登記は完了することができました。
余談ですが、登記義務者として、登記済権利書(登記識別情報)が求められますが、今回のケースでは居住用不動産の処分に当たらない1名のものを添付すれば足りました。
※参考までに※
居住用不動産の売却をする場合、裁判所の許可が必要になります。
※参考条文※
第859条の3【成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可】
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
令和5年1月8日 司法書士 梶原 司