司法書士が成年後見人として本人(被後見人)の不動産を売買する場合に、この司法書士が代理人として登記申請を行えるのか?
結論からいうと、代理人として登記申請するのはやめておいた方がいい。やるのであれば買主から登記費用を受領しない方が望ましい。というふうに考えます。
まずは、前提として。
双方代理は原則禁止されており、「登記申請」は売買契約後の債務を履行するものにあたるので司法書士の登記申請はこの双方代理にあたらないとされています。
そのため、今回の問題も登記申請についてなので双方代理の問題とはならなくて、倫理や職責の問題からやめておいた方がいいという結論です。
(このあたり明確な根拠があるわけではないので、各司法書士の判断によるのかと思います。)
やめておいた方がいいという理由としては、買主から登記費用をもらうとするならば、【登記費用】を「高く」設定し、【売買代金】を「安く」設定することができてしまい、後見人である司法書士(=代理人 司法書士)が売主である本人の利益を保護できているのか?という疑念を持たれてしまう可能性があるからだと考えます。
ですので、代理人として登記申請を行うのであれば買主から登記費用を受領しない方が望ましいという結論になるのかなと思います。
判断に悩む事例だと思います。
司法書士 梶原 司